今回は、香りの種類を表す言葉についてお話していきたいと思います。
グルマン系、シプレ系、オリエンタル、ウッディ…etc。香りを表現するのに色々な言葉が使われていますが、これって結構わかりにくいですよね。
このページでは、それらの言葉の中でも特に分かりにくいものについて、抜粋して説明していきたいと思います。
この記事はこんな方にオススメ!
・香水の「~系」というのが、よく分からない
・香りのカタカナ表現で意味不明なものがある
・香りの表現について理解を深め、もっと香水が好きになりたい!
分かりにくい、香水の分類「~系」
香水の分類で「~系」と表すことがありますよね!
まずはこの「~系」と表されるものの中でも特に分かりにくい、「シプレ」「フゼア」「グルマン」「寺」についてお伝えしたいと思います。
●香調についての説明は、こちらのページも参考になりますよ!
香水を使い始めると、「~系」という言葉を耳にすることが増えると思います。たゆたフルーツ系、フローラル系、シプレ系…みたいな 今回は、「香水の『~系』って何だろう?」というお話です。~系の[…]
「シプレ系」とは
シプレ系の特徴
◆「シトラス」→「華やかなフローラル」→「パチョリ、モス、ベチバーなど」と変化
◆華やかでエレガント、大人っぽい印象
◆クラシックな、いわゆる”香水らしい”香りが多い
シプレ系の香水はシトラス(特にベルガモット)の爽やかな香りに始まり、ジャスミンやガーデニアなどの華やかな花の香りへと続きます。
そしてラストノートで一気に「土っぽい」「湿っぽい」香りへとトーンダウンする香調です。
この「土っぽさ」や「湿っぽさ」を感じさせる香料として、パチョリ(パチュリ/パチューリ)、モス、ベチバーなどが使われています。
パチョリは、「湿った土」「カビ」「ナッツ」「純ココア」「墨汁」のような匂いがします。
モスは透明感があって、ジメジメした感じの匂い。
そして、ベチバーは「草の根っこ」「土ごぼう」のような香りがします。
●シプレ系の香水、詳しいレビューはこちらから♪
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「フゼア系」とは
フゼア系の特徴
◆「シトラス(ベルガモット)」→「ラベンダー(ハーバルなフローラル)」→「クマリン、バニラ、モス、パチョリなど」と変化
◆男性的で「カッチリ」した印象
◆クラシックな、いわゆる”香水らしい”香りが多い
フゼア系の香水は、ベルガモットに代表されるような、少し苦みを含んだシトラスから始まり、ラベンダーのハーバルな花の香りへと続きます。
また、ベースに「クマリン」や「バニラ」などの甘い要素と、「パチョリ」や「モス」などの湿っぽく落ち着いた要素を含んでいます。
「フゼア系」の定義として、『ラベンダー、クマリン、パチョリの3つの要素を備えた香水』というのをよく聞くのですが、私はこの3つの香料にこだわらなくても良いと思っています。
(この3つが揃ってなくても、フゼア系の香水はあるから)
フゼアの語源は、フランス語の「fougère(フジェール)」。シダ植物という意味です。
シダ自体には香りがないのですが、「ハーバル」「甘み」「湿っぽさ」を掛け合わせることで、フゼアの香調を作り出しているのですね。
特に「ハーバル」の要素と「湿っぽさ」の要素はフゼアには欠かせないもので、ハーバルは「ラベンダー」、湿っぽさは「パチョリ」や「モス」で表現されていることが多いです。
●カッチリ感のあるフゼア系の香水、詳しいレビューはこちらから♪
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甘さに関しては、「トムフォード/ラベンダーエクストリーム」のように強い物から、「ディプティック/オードミンテ」のように殆どない物まで様々です。
甘さの少ない物の方が「カッチリ感」「清潔感」ある印象の香りになりますよ!
逆に甘さの強い物は、カッチリ感が減り、独特の色っぽさを感じさせるものが多いです。
●甘さの強いフゼア系の香水、詳しいレビューはこちらから♪
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「グルマン系」とは
グルマン系の特徴
◆お菓子のような甘く美味しそうな香り
◆濃厚で、秋冬に似合う香りが多い
◆美味しそうすぎて「飲めるんじゃないか?」と思うけど、飲んじゃダメ
「グルマン系」とは、おいしそうな甘い匂いのする香水のことです。焼き菓子のような香りやフルーツの香りのグルマン系香水もあります。
代表的な香料としては、「バニラ」「プラリネ」「キャラメル」「ハニー」などがあげられます。(プラリネとは、ナッツと砂糖を混ぜ合わせてキャラメリゼしたもののことです。)
ちなみに、グルマンの語源はフランス語の「gourmand(グルマン)」です。意味は「食いしん坊」や「食道楽」。
●グルマン系の香水、詳しいレビューはこちらから♪
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「寺系」とは
寺系の特徴
◆お香を焚いているような香り
◆手入れされた木造建築物を思わせる香り
◆「静けさ」や「内省的」な印象を受ける香りが多い
「寺系」とは、東洋のお寺の中でお香を焚きしめているような香りがする香水のことです。
よく磨かれた古い木造建築から漂う、辛味を帯びた木の香り。聞こえるのは細やかな雨音や、囁くような草木の葉擦れだけ。
宇宙に一人ぼっちになったかのような、静かな印象を抱く香りが多いです。
●寺系の香水、詳しいレビューはこちらから♪
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寺系の代表的な香料は、沈香(ウード)、伽羅(キャラ)、白檀(サンダルウッド)などがあげられます。
オリエンタルな香り(後述)と香料的に被っているところもあり、香りの系統としては近縁にあたります。
ただし、オリエンタルな香りの代表格「ウード香水」は、寺系の沈香の香りとはジャンルが違うのではないかと考えています。
香りを表現・説明するための言葉、用語
「グリーン」な香り
「グリーン」な香りとは、植物の草っぽい匂いを含んだ香りのことです。
この草っぽい部分を「グリーンな」とか「青さのある」と表現していることが多いです。
グリーンさが強い香水では、「草原のような匂い」「雨に濡れた葉っぱの匂い」「ハーブのような匂い」を感じさせてくれます。
透明感があって、すっきりした香りが多いのが特徴です。
●「グリーン」な香り、詳しいレビューはこちらから♪
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「オリエンタル」な香り
そもそも「オリエンタル」とは
そもそも、オリエンタルとは「東洋の」「東洋風の」という意味の言葉です。地理的な範囲でいうと中東~アジアのあたり。
私の中ではオリエンタルな香りといえば、アラビアンナイト的なイメージで、独特なお香っぽい甘さのある匂いとインプットされています。
「寺系」と「オリエンタル」は別物として理解していますが、広義には「寺系はオリエンタルの一部」と考えることもできますね!
バルサミック(樹脂の匂い)
バルサムとは植物を傷つけたときに出る分泌物のことです。木は虫食いなどで傷つけられると樹脂を分泌するのですが、「バルサミック」(=バルサム様)とは、この樹脂からとれる香料の匂いのことを言います。
始めて聞いた時「バルサミコ?酸っぱいの?」と思いましたが、酸っぱくはありません。甘い香りです。
代表的な香料としては、乳香(フランキンセンス)、没薬(ミルラ)、安息香(ベンゾイン)、沈香(ウード)、スティラックスなどがあげられます。
●「バルサミック」な香り、詳しいレビューはこちらから♪
今回は「SERGE LUTENS(セルジュ ルタンス)アンブルスュルタン オードパルファム」について、どんな香りかご紹介したいと思います。 アンブルスュルタン(アンバーの王)は、西アジアの寺院を思わせる静謐さ、樹脂[…]
今回は「Miller Harris(ミラーハリス)スケルツォ オーデパルファム」について、どんな香りかご紹介したいと思います。 スケルツォは、オリエンタル系ウードとローズ、そしてバニラ系の甘さが重なった香水です。[…]
センシュアル
センシュアルな香りとは、「色気のある」「艶っぽい」匂いという意味です。
オリエンタルな香り=センシュアルというわけではありませんが、どこかエキゾチックな色香漂う香水が多いですよね~。
●「センシュアル」な香り、詳しいレビューはこちらから♪
今回は「MONTALE PARIS(モンタル)ロイヤル ウード オードパルファム」について、どんな香りかご紹介したいと思います。 ロイヤルウードは、ウードの持つ「ウッディーさ、レザリーさ、アニマリックなもったり感、[…]
今回は「GUERLAIN(ゲラン)シャリマー オーデパルファン」について、どんな香りかご紹介したいと思います。 シャリマー オーデパルファンは、シトラスを中心とした複雑な香りから始まりパウダリーフローラルへ続き、そ[…]
「ウッディー」な香り
そもそも「ウッディー」な匂いとは
ウッディーな香水とは、「木の香り」がしっかり感じられるものを指します。
代表的な香料には「~ウッド(シダーウッドやサンダルウッドなど)」と名の付く物が多いです。
イメージ的には「おがくず」「角材」「丸太小屋」の匂いですが、ウッディの中でもスパイシーな(辛味のある)もの、スモーキーなもの(焚火っぽい)、湿っぽいもの(苔むした感じ)など、色々な香りがあります。
「ウッディー」て何だ?と、私が困った事のある点について、以下でお伝えしていきます!
パチョリ・モス・ベチバーは、ウッディー?
「ウッディー」という名称なので、「そりゃあ木の匂いがするんでしょうな!」と思っていたのですが、「パチョリ」「モス」「ベチバー」もウッディーと表現されていることが多く、私は混乱。
いずれも「木」の香りとは違うからです。でもこの3つもウッディーに分類されているんですよねー。
地面や土などを思わせるこれらの香りは、ウッディーの中でも特に「アーシー」と呼ばれています。
アンバーウッド?アンバーグリス?
香料としての「アンバー」は、「アンバーグリス」っぽい雰囲気のある樹脂系合成香料です。
よってアンバーウッド(アンバー)とアンバーグリスは別物。
アンバーはシトローズ(シスタス/ロックローズ)の樹脂成分であるラブダナムと、バニラの香りを混ぜて作られています。
独特なクセを持つ甘い香りがしますが、樹脂由来の「木」の香りもほんのり含んでいますよ!
一方「アンバーグリス」は塩っぽさ、海っぽさを強く感じる香りです。
まとめ
香水の香りの表現は果てしなく広いです。
香水の沼…もとい、泉に手を浸すと、今回ご紹介したような表現に出くわすことがあると思います。
最初は「意味がわからない」と違和感があるかもしれませんが、これらの言葉がすんなりイメージできるようになると、香り選びがもっと楽しくなると思います!
(そして、すんなり分かるようになる頃には香水大好きになっていると思います、ぐふふ。)
ここでは香料については本当に軽くしか触れていませんが、香料についても詳しく調べてみるととっても面白いですよ!
今回ご紹介できたのはほんの一部になりますが、香りに親しむきっかけになってくれたら嬉しいです。