今回は「TOM FORD(トムフォード)ローズプリック オードパルファム」について、どんな香りかご紹介したいと思います。
ローズプリックは、チョコレートのような濃厚な甘さを含んだローズ香が特徴的な香水です。
パウダリーで可愛らしい甘さとは裏腹に、どこか退廃的で気怠い感じの甘美な印象を与えるバラ香水となっています。
この記事はこんな方にオススメ!
・トムフォード、ローズプリックの香りについて詳しく知りたい
・チョコレートのような甘い香りが好き
・個性的なローズ香水が欲しい
TOM FORD(トムフォード)ローズプリックとは?
香水の基本情報
タイトル:ROSE PRICK Eau de Parfum(ローズプリック オードパルファム)
ブランド:TOM FORD(トムフォード)
香調:パウダリー、フローラル
調香師:Guillaume Flavigny(ギヨーム・フラヴィニー)
発表:2020年
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トップノート:花椒(ホアジャオ)、ターメリック
ミドルノート:ローズ・ドゥ・メ、ターキッシュローズ、ブルガリアンローズ
ラストノート:パチョリ、トンカビーン、トルーバルサム
持続性、強さ、香りのチャート
持続性:5.5時間程度
放香性:★★★★☆ 強い
ローズプリックって、どんな香り?
トップノート:スパイシーチョコレート(20分)
つけたては甘いチョコレートにスパイスのパウダーを振りかけたような、不思議な香りからこの香水はスタートする。
この辺りでは、ローズは意識すると嗅ぎ取れる程度で、ベースのパチョリがチョコレートっぽくなって幅を利かせているようだ。
スパイスの部分ではウコン(ターメリック)の土っぽさと、トルーバルサムのシナモン系の香りがしっかり感じられる。
ローズ香水と言っても、爽やかな瑞々しいフローラルではなく、最初から温もりのあるどっしりとした香りとなっていた。
ミドルノート:ざっくり「バラ」(1時間)
だんだんローズの香りが強くなってきたら、ミドルノートの始まりだ。
3種類のローズを嗅ぎ分けられるような繊細さはなく、ざっくり「うん。バラの匂いがするね。」という感じ。
ワーっと香り高く広がるようなローズではなく、じわじわと布に染み込んでいくような広がり方を見せる。
フローラル由来の甘さではなく、トンカビーンやバルサム由来のパウダリックな甘さがしっかりしている。
とても甘ったるい感じのローズだと思った。
ラストノート:パウダリーでマイルドな甘さに(4時間)
香り自体に大きな変化はなく、全体的にマイルドになってドライダウンしていく。
ラストノートではローズの香りも、パチョリ・トンカやバルサムの甘みも混ざり合い、香りの輪郭がぼやけている。
「何の匂いかよく分からないけど、ローズ系でチョコレートっぽい甘さの香水」といった感想を抱く。
でも、ベタベタして嫌な甘さではなく、ふわふわのタオルのような可愛らしさを含むというか、マシュマロっぽい甘さになっている。
全体を通して、時間経過に伴う香りの強弱やメインに感じるノートは変化しつつも、大きく香調が変わっていくことはない。
ずっと「パウダリーでチョコっぽい甘さとローズの香り」だ。
トムフォードはジェンダーレスな香りだと位置づけているけれど、かなり女性よりに思えた。
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解説と感想
意味深なネーミングのバラ香水
2020年にトムフォードビューティより発売された「ROSE PRICK(ローズプリック)」は、プライベートブランドコレクションの中の1本。
F・ファビュラス(2017年)、ロストチェリー(2018年)に続く、”意味深な”ネーミングシリーズ第3弾の香りです。
ちなみにその後、2020年の10月には第4弾のビターピーチが発売されています。
(別にシリーズにしている訳でもないんでしょうが…。すべての香りのテーマが「色事」に絡んでいて、シリーズ化している感もあります。)
こちらの香水名もROSE PRICK、直訳すると「薔薇の刺し傷」ですが、スラング的に訳すととんでもない意訳になってしまいます。
(当サイトでは良い子の皆さんにもご覧頂けるように、明言は控えます笑。「prick スラング」で検索してみてください。)
トムフォード的には、おそらくそちらが本命の意味合いなのでしょう。
ボトルカラーは、イチゴミルクのようなピンクに黒いラベルが目を引きます。
それを見てパッとイメージしたのは「都会の街を歩くロリータファッションの女性」。
人形のようにひらひらと可愛い服を着ているのが鮮烈な印象を与えます。
ローズプリックもロリータファッションと同じように、ほかのローズ香水にはない強い個性を放つ香水だと思いました。
退廃的な美しさが、やみつきになる香り
ローズプリックは、トムフォード邸にあるローズガーデンのバラにインスパイアされて生まれました。
ローズドゥメ、ターキッシュローズ、ブルガリアンローズの3種類のバラの香りをふんだんに用いたこの香水は、確かにローズが主役です。
しかし、ローズ香水でよく見かける「キラキラした透明感あるバラの匂い」でも、「スパイシーでダークな感じのバラの匂い」でもありません。
なんというか、枯れる直前のような退廃的な美しさのあるバラなのです。
真昼のベッドで、今目覚めたばかりの女性が、けだるそうに髪を掻き上げているような、そんなイメージが思い浮かぶ匂い。
それはチョコレートのように良い香りで、一度味を知ってしまうとやみつきになってしまう魅力を持っています。
香りは一貫して濃厚で甘さも強いため、ビシッと締めたいビジネスシーンや、キラキラ爽やかさを演出したいデートシーンなどには向かないでしょう。
逆に、夜のお出かけや休日のまったりしたい時には、打って付けのローズではないかなと思いました。
女性寄りの香りだと思いますが、この香水を男性が付けこなせたら、かなり格好良いのではないでしょうか。
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参考:TOMFORD公式ホームページ「ROSE PRICK EAU DE PARFUM」https://www.tomford.com/rose-prick-eau-de-parfum/T8-ROSE.html