今回は「SERGE LUTENS(セルジュ ルタンス)アン ボワ バニール オードパルファム」について、どんな香りかご紹介したいと思います。
アンボワバニール(バニラの木)は、スパイシーな香りから始まり、カスタードクリームのような甘い香りに変化していきます。
古の王国・アステカから、黄金と共に奪われた「カカワトル」に思いを馳せる香水です。
この記事はこんな方にオススメ!
・セルジュルタンス、アンボワバニールの香りについて詳しく知りたい
・バニラの香り、カスタードクリームのような香りが好き
・グルマン系の香水が好きだけど、香りが強すぎるのは避けたい
SERGE LUTENS(セルジュ ルタンス)アンボワバニールとは?
香水の基本情報
タイトル:Un bois vanille Eau de parfum(アンボワバニール オードパルファム)
ブランド:SERGE LUTENS(セルジュ ルタンス)
香調:グルマン、ウッディー
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表:2003年
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ノート:メキシコ産ブラックバニラ、サンダルウッド、リコリス、ココナッツミルク、ビーズワックス、アーモンド、トンカビーン、アイリス、ローズ、ガイアックウッド、スティラックス、ベンゾイン、ムスク
持続性、強さ、香りのチャート
持続性:5時間程度
放香性:★★★☆☆ やや強い
アンボワバニール(バニラの木)って、どんな香り?
トップノート:焦げたスパイス(15分)
まずは「焦げたスパイス」の香りからスタートする。
ガイアックウッド、リコリス、火のついたタバコが混じったような香りだ。
「料理をする時にスパイスを炒めていたら、うっかり真っ黒焦げになってしまった…。」そんなイメージが頭に浮かぶ。
10分程すると甘さが開いていき、カラメルのような香りに変化してきた。
ミドルノート:甘さが強くなる(50分)
甘い匂いがメインで香り出す。
トップで香っていたスパイシーさや焦げた匂いに、ココナッツミルクやビーズワックス(蜜蝋)のマイルドな甘さを加えた感じ。
「濃厚なバニラ」といった強い甘さではない。
さらに15分程すると、カスタードクリームのような香りに変化した。
ラストノート:穏やかなウッディー・バニラ(4時間)
また少し香りが変化して、今度は「アーモンドの香ばしさ+トンカ」にバニラを加えたような匂いになってきた。
ここでもやはりバニラの甘さは強くはなく、穏やかなグルマン調。
そして最後は「乾いた木」と「ほんのり甘いバニラ」の香りでドライダウンする。
グルマン系の香水ではあるが、拡散性も持続性もあまり強くはない。
日常的に使いやすいバニラ香水だと思う。
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セルジュルタンス/アンボワバニール(バニラの木)の解説と感想
カカワトルの香水
セルジュルタンス、ノワールコレクションの中の一本、「Un bois vanille(アンボワバニール)」の香り。
香水名を直訳すると「バニラの木」となります。
その名に相応しく、バニラの甘さとウッディーな香りが楽しめる香水です。
ブランドでは、アンボワバニールの香りを次のように説明しています。
アステカ帝国の財宝のひとつ、バニラ。 その純粋にして高貴、そして甘美なバニラの芳香は、 ひとを魅了し、とりこにし、 永遠に自分だけのものにしたいという欲望をかきたてる。 その宝物のようなバニラの魅力を、白檀の箱にそっと詰めて。
ーSERGE LUTENS公式ホームページより
また、このような話も出てきます。
1519年アステカ帝国に上陸したスペインのコルテスは、泡状になった飲み物と出合いその魅力の虜になってしまいました。
ーSERGE LUTENS公式ホームページより
カカオやバニラの原産地は今のメキシコあたり、紀元前1200年頃まで遡ります。
これらは当時栄えたオルメカ文明において、高い栄養価を持ち滋養強壮作用があると考えられており、すりつぶして飲む習慣がありました。
その文化は続くマヤ文明やアステカ文明でも残り、アステカ時代には「カカワトル(カカオの水)」として、ココアにバニラで風味付けした物が飲まれていたそうです。
征服されたバニラ
黄金豊かなアステカ王国は、1521年にスペイン人のコルテスによって滅ぼされました。
彼らによって黄金と共にカカワトルは奪われ、この後約300年に渡りスペインから過酷な植民地支配を受けることとなるのです。
上の項の冒頭で「Un bois vanille」は「バニラの木」という意味だといいましたが、「bois」は「飲む」という動詞「boire」の活用形の一つです。
ですので「bois vanille」は、「バニラを飲む」という意味にも取れますね。
また、boireには「甘んじて受け入れる」というニュアンスもあるそう。
「バニラ(文化)を奪われた屈辱に耐え忍ぶ」という意味に受け止めるなら、カカワトルや黄金に目がくらんで、欲望のままにアステカを滅ぼしたコルテスらへの痛烈な風刺が込められているのでしょう。
さて、ここまで理解してから改めて香りについて振り返ってみます。
するとトップで感じた「焦げたスパイスの香り」は、一面焦土と化したアステカの大地を表現しているのだろうかと思えてきます。
その後は甘い香りが出てきますが、恍惚とさせるような濃厚なバニラではなく、ウッディーで少し暗い雰囲気。
最後はサンダルウッドを思わせる乾いた木の香りに、「バニラ」という宝物を閉じ込めて。
少し悲しいバニラの香りのようにも思えてきました。
ちなみに、「フエギア1833/ショコアトル」もカカワトルをテーマにした香水です。
こちらとレイヤードしてみるのも面白いと思います。
まとめ
今回は「セルジュルタンス/アンボワバニール オードパルファン」について、詳しい香りのレビューをお伝えしました。
アンボワバニールは、「焦げたスパイスの香り」から「カスタードクリームのような甘い香り」に変化します。
最後は「乾いた木の香り」と「穏やかなバニラの香り」を肌に残す香水です。
香り選びの参考になれば嬉しいです♪
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参考:SERGE LUTENS公式ホームページ「アンボワバニール」https://www.sergelutens.jp/ja_JP/105000000080000.html?cgid=fragrance-allfragrance-collectionnoire