今回は「OFFICINE UNIVERSELLE BULY(オフィシーヌ ユニヴェルセル ビュリー)ニンフとさそり オー トリプル」について、どんな香りかご紹介したいと思います。
ニンフとさそりは、温泉水の「無機質さ」や、ぬるま湯くらいのじんわりした「温もり」を感じる香水です。
それと同時に「冷たさ」や香りの「固さ」も感じられて、ちょっと不思議な印象も抱きます。
記事後半で、「ヴァルパンソンの浴女」との関わりについても出てきます♪
この記事はこんな方にオススメ!
・ビュリー、ニンフとさそりの香りについて詳しく知りたい
・お風呂のような香りが好き
・不思議な雰囲気のある香りを探している
BULY(ビュリー)ニンフとさそり オートリプルとは?
香水の基本情報
タイトル:La Nymphe Au Scorpion(ニンフとさそり オー トリプル)
ブランド:OFFICINE UNIVERSELLE BULY(オフィシーヌ ユニヴェルセル ビュリー)
香調:ウォータリー、フローラル
調香師:アニック・メナルド
発表:2019年
販売終了:2023年
ノート:マンダリン、アルデヒド、コリアンダー、ジャスミン、ヘリオトロープ、ビターアーモンド、ムスク
持続性、強さ、香りのチャート
持続性:4時間程度
放香性:★★☆☆☆ 弱い
ニンフとさそり(ルーブル コレクション)って、どんな香り?
トップノート:不思議系、温泉水(15分)
まず初めに出てきた感想は、「わぁ。なんだか不思議な匂い…。」ということだった。
しっかり感じ取れるのは、アルデヒドとコリアンダーの鼻にツンとくる感じ。
少し甘みもあるが、「塩」や「水」、そしてこの彫刻の素材である「大理石」を思わせる、どこか”無機質”な固い香りのように感じた。
知っている香りの中では「温泉水から硫黄の要素を引き算した」ような香りだと思った。
ミドルノート:花の甘みと塩っぽさ(45分)
付け始めから40~50分ほど経つと、香りにジャスミンが出てくる。
この時間帯のメインは、ジャスミンと最初から続く塩っぽい香りで、その背後にヘリオトロープのバニラのような甘さがある形だ。
甘いと言っても濃いグルマン様のものではなく、あくまでお花の甘さ。
なので、ふんわりした甘みはありつつも、サラサラした瑞々しい香りが続いた。
ラストノート:素肌のようなムスク(3時間)
香りの変化はほとんどないが、甘みが少しだけ増して柔らかい雰囲気になったようだ。
アーモンドの香りは「ある」と知っていれば、「うん、確かに。」と分かる程度であまり強くはない。
一方で、ムスクは結構わかる。
同ビュリー×ルーブルのコラボシリーズ「ヴァルパンソンの浴女」に出てくる、”素肌”を思わせるような、肌に吸い付く系のムスク香だ。
最初から最後まで、サラサラと瑞々しい香りと柔らかい甘さが続く。
温泉水っぽいなぁと感じる部分があったり「風呂」を想起させるものの、シャンプーや石鹸のような「清潔感!」と押してくる匂いではない。
香調としては「ほんのり温かい」くらいの温度感だが、どこかクールな印象を残す香りだと思った。
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「ビュリー/ニンフとさそり」の解説と感想
奔放な水の精霊「ニンフ」
2019年に登場したビュリーとルーブル美術館のコラボコレクションのうちの一つ、「La Nymphe Au Scorpion(ニンフとさそり)」。
こちらの香りは、アニック・メナルド氏によって調香されました。
「ニンフとさそり」はイタリアの彫刻家、ロレンツェ・バルトリーニが1837年に完成させた作品。
水の精「ニンフ」が浴槽から出たところ、サソリに刺されてしまったシーンを表した大理石彫刻です。
ニンフは自然から生まれた精霊で、泉や川など「水」のそばで登場することが多いです。
また若い女性の姿をしており、日がな一日歌い、踊り、時には気に入った人間の男性をさらっちゃうこともあるらしい。
なんというか、奔放な精霊ですよね~。
そんな彼女が、足をサソリに刺されます。「イッターイ!!」と叫んでいるような、しかめ面。
精霊なはずなのに、なんとも人間臭い表情が印象的です。
そんな水の精霊ニンフを表すように、この香水も「水」や「塩」のような香りを感じることができます。
肌から匂い立つムスク、こんな繋がりが…
調香した、アニック・メナルド氏の言葉をご紹介したいと思います。
(抜粋)毒は大理石の少女の血管と視線を固まらせる。水中花のごとく凍り付く心臓。マンダリンのアンダートーンを中心にしたアルデヒド系の香りでこれ(白木)を表現し、金属的なニュアンスをコリアンダーで、彼女の若さをムスクで描写しました。サソリの毒は、ビターアーモンドで描き、中毒をほのめかしました。
ーアニック・メナルド
私は奔放なニンフが「イッタァァァー!!」と叫んでいる、ちょっとコミカルなのを思い浮かべたのですが、事態はもっと深刻だったらしい…。(ごめんよ、ニンフ)
でも香りの方は、そんな風にシリアスな雰囲気は漂わせていません。
むしろ温泉水のような、無機質さとじんわりとした温もりを感じます。
温泉水と言いましたが、硫黄のような独特な臭みはありません。
そんな水系の香りに、ジャスミンやヘリオトロープの花の香りが重なります。
そして、香りの後半ではムスクがしっかり出てくるのです。
石けんのような清潔感ある、あるいはアニマリックな癖の強いムスクではありません。じっとりと湿った肌から匂い立つようなムスクです。
「最近どこかで、こんなムスクを嗅いだぞ?」と思い返してみると、「あっ!ルーブルコラボの『ヴァルパンソンの浴女』だ!」と気付きました。
実は、バルトリーニは「ヴァルパンソンの浴女」を描いたアングルと友達だったらしいのです。そして、お互いの作品に影響を与えあったのだとか。
作品同士のみならず、時代を超えて別々の調香師が作り上げた香りに、同じ要素が感じられるなんて何だか凄いですよね!
バルトリーニとアングルの関係を後から知ったので、パズルがバチッとハマるような感動を覚えました。
まとめ
今回は「ビュリー、ニンフとさそり オー トリプル」について、詳しい香りのレビューをお伝えしました。
ニンフとさそりは、温泉水のような無機質さと、ぬるま湯程度の温かみのある香りです。
温もりは感じるのに、クールで固い印象も含んでおり、ちょっと”不思議系”の香りでもあります。
美術品としても、香りとしても「ヴァルパンソンの浴女」との繋がりを感じて面白いですよ!
香り選びの参考になれば嬉しいです♪
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参考:OFFICINE UNIVERSELLE BULY公式ホームページ「オー・トリプル『ニンフとさそり』」https://www.buly1803.com/jp/louvre/25745-eau-triple-la-nymphe-au-scorpion.html