今回は「SERGE LUTENS(セルジュ ルタンス)ラ ヴィエルジュ ドゥ フェール オードパルファム」について、どんな香りかご紹介したいと思います。
ラヴィエルジュドゥフェール(鉄の百合)は、「まだ固い洋ナシの”鋭さ”を感じさせる果汁感」と「花粉っぽさを伴った百合」の香りから始まります。
後半では、そこに「インセンス系のくぐもった甘いヴェール」が掛けられるように香りが変化していきますよ。
この記事はこんな方にオススメ!
・セルジュルタンス、ラヴィエルジュドゥフェールの香りについて詳しく知りたい
・甘すぎず、付けやすいフルーティー香水を探している
・不穏さを におわせる背景を持つ香水が好物
SERGE LUTENS(セルジュ ルタンス)ラヴィエルジュドゥフェールとは?
香水の基本情報
タイトル:La vierge de fer Eau de parfum(ラ ヴィエルジュ ドゥ フェール オードパルファム)
ブランド:SERGE LUTENS(セルジュ ルタンス)
香調:フルーティー、フローラル
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表:2013年
廃盤:2022年 日本での販売終了
ノート:
ユリ、西洋ナシ、サンダルウッド、メタリックノート、インセンス
持続性、強さ、香りのチャート
持続性:5~5.5時間程度
放香性:★★★☆☆ やや強い
ラヴィエルジュドゥフェール(鉄の百合)って、どんな香り?
トップノート:すっきりフルーティーフローラル(15分)
洋梨のフルーティーな甘さから始まる。
すぐ後を追うように、百合の花粉っぽさを伴ったホワイトフローラルも出てくる。
酸味も割と強いので、マグノリアの香りのようにも感じる。
トップは、すっきりしたフルーティー・フローラルになっていた。
ミドルノート:硬い洋ナシ(2時間)
つけ始めから15分ほどすると、酸味が弱まってくる。
ミドルの主役もやはり「洋ナシ+百合」といった形なので、トップから香りの変化は少ない。
キーンと硬質な、金属的な香りは私の肌では出てこない。
ただし、洋ナシの香りは「熟れてトロッと甘い果汁」を感じさせるものではなく、まだ少し硬く”鋭さ”を感じさせる。
金属的な硬さとは また異なるが、そういった「未成熟の果実の硬さ」は感じ取ることができた。
ラストノート:インセンスが出てくる(3時間)
全体的に、香りが「淡く」「甘く」まとまっていく。
甘さの源になっているのは「洋ナシのフルーティーさ」と「お香っぽい感じ」が半々くらい。
なのでインセンス(お香)っぽさが出てきたと言っても、パウダリーさやスモーキーさはあまり強くない。
全体を通して香りの変化は少なめで、シングルノート様。
明るめの香調となっていた。
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セルジュルタンス/ラヴィエルジュドゥフェール(鉄の百合)の解説と感想
2022年に廃盤…と思いきや、パレ ロワイヤル コレクションには残っていた
2013年にセルジュ・ルタンス/コレクション ノワールより登場した、「La vierge de fer(ラ ヴィエルジュ ドゥ フェール)」の香り。
邦題は「鉄の百合」となっています。
こちらは2022年に販売終了となったのですが、パレ・ロワイヤル本店とヨーロッパのルタンス公式サイトのみで販売されている、釣鐘型のフラコンボトル(75mlサイズ)の特別なコレクションには残っているようです。
(他にも廃盤になったと思っていた香水も、ちらほら残っていました。)
ラヴィエルジュドゥフェールは、終売を知った時に買うかどうか随分悩んだのですが、結局諦めたんですよね。
しかし、後で「買っとけば良かった!!」と悔やんだ香水の一つです。
「パレ・ロワイヤルコレクションとして、まだ売ってるんだ!」と一瞬喜んだものの、なるほどね…。
欲しければ パリに来いとおっしゃるか…。(行けないよ)
買うかどうか悩んでいたタイミングで、「フルーティー系香水は、これ以上増やすべからず!」と自分を戒めていたので諦めたのですが、「とろみが少なく鋭さのある洋ナシの果汁感」と、「花粉っぽさを伴った百合のフローラル」を混ぜた香りから、最後、「インセンス系のくぐもった甘いヴェールが掛けられる」という流れは、とても美しいフルーティーフローラルだなと思います。
鉄、梨、荊…。苦難の中に百合は咲く。
さて、セルジュ・ルタンスと言えば、毎回 深読みしたくなる説明文(セルジュ ポエム)を取り上げずにはいられないわけですが、今回も(頑張って)読み解いていきたいと思います。
鉄の教義は処女を、処女は百合を求めた。光あれ!暗闇はもう結構。望みを抱く者の魂は暗黒ではない。鉄の処女にようやく追いついた。我らの内なる恐怖の深淵まで荊(いばら)に潜み咲く百合を探しにいこう。
ーセルジュ・ルタンス公式ホームページより
ヨーロッパの公式ホームページには 違う説明文が載っているのですが、一部 似ているところもあります。
そちらでは、virginではなく(the)Virginと書かれているんですね。
なので、これは「処女」ではなく「聖母」という意味を持っているのかなと思いました。
また、キリスト教において百合は「聖母マリア」を象徴する花であり、「純潔」「高潔」といった意味を持ちます。
そして荊はキリストが処刑される時に侮辱され付けられた冠、つまり「受難」を象徴します。
それらを合わせて考えると、上記の説明文は
『救いの聖母には高潔さが必要だ。希望を抱く者には光がある。自分の中にある絶望・苦痛の中にこそ、高潔さを探し出せ。』
と読み解くことができるのではないでしょうか。
(え? 無理やりすぎる…?)
ところで、La vierge de ferは直訳すると「鉄の百合」ではなく「鉄の処女」となるんですよね。
そう。中性ヨーロッパにあったとされる、人型の拷問器具です。
(中にトゲトゲが付いていて、蓋を閉めると刺さるヤツ)
また、香りの主役の一つである洋梨も、「苦悩の梨」という有名な拷問器具がありました。
(「鉄の処女」は実際には無かったのではないか?と言われていますし、「苦悩の梨」も脅しに使われていただけで実際には使用されなかったという考えもあるようですが…。)
「苦しみの中に光を見い出せ」と良い事を言ってる風なのですが、やっぱり どうも”きな臭い”。
セルジュ・ルタンスらしくて良いですね。
まとめ
今回は「セルジュルタンス/ラヴィエルジュドゥフェール オードパルファム」について、詳しい香りのレビューをお伝えしました。
ラヴィエルジュドゥフェールは、硬さを感じられる洋ナシと花粉感のある百合、最後にはインセンスの甘いヴェールが掛けられるような香りになっています。
セルジュ・ルタンスらしく、”きな臭い”意味も含んでいそう…。
香り選びの参考になれば嬉しいです♪
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参考:SERGE LUTENSヨーロッパ公式ホームページ「LA VIERGE DE FER」https://sergelutens.eu/collections/la-reserve/products/la-vierge-de-fer