今回は「L’ARTISAN PARFUMEUR(ラルチザン パフューム)ニュイドチュベルーズ オードパルファム」について、どんな香りかご紹介したいと思います。
ニュイドチュベルーズは、スパイシーさや酸味、フルーティーさや甘いフローラル、樹脂の柔らかい甘さ、そしてウッディーな香りといった様々な要素が重なった香水です。
「密やかな夜」を思わせる、静かで捉えどころのない香り。
この記事はこんな方にオススメ!
・ラルチザン、ニュイドチュベルーズの香りについて詳しく知りたい
・「密やかさ」や「落ち着き」を感じさせる香りが欲しい
・チューベローズは好きだが、甘すぎるのは嫌
L’ARTISAN PARFUMEUR(ラルチザン パフューム)ニュイドチュベルーズとは?
香水の基本情報
タイトル:Nuit de Tubéreuse Eau de Parfum(ニュイドチュベルーズ オードパルファム)
ブランド:L’ARTISAN PARFUMEUR(ラルチザン パフューム)
香調:フローラル
調香師:ベルトラン・ドゥショフール
発表:2010年
廃盤:2022年 販売終了
トップノート:ピンクペッパー、クローブ、マンダリン、アンジェリカ、カルダモン、ペッパー、カスカリラ
ミドルノート:チューベローズ、マンゴー、オレンジブロッサム、イランイラン、ファーズ(ハリエニシダ)、ローズ
ラストノート:ベンゾイン、ローズウッド、ムスク、サンダルウッド、スティラックス
持続性、強さ、香りのチャート
持続性:6.5時間程度
放香性:★★★☆☆ やや強い
ニュイドチュベルーズって、どんな香り?
トップノート:シトラス・スパイス・フルーティーに、静かな甘さ(30分)
甘いマンダリンのシトラスと、ピンクペッパーのフルーティーな酸味から始まる。
スッとする、軽いスパイシーさもある。
そしてそこに、お香のような「静けさ」を感じさせる甘さが、うっすらと重なっている。
チューベローズの匂いは、まだ出てこない。
ミドルノート:ホワイトフローラルが出てくる(1時間)
酸味は無くなるが、フルーティーさは続いている。
ノートを確認すると「マンゴー」がリストされているので、これに由来するフルーティーさなのかもしれないが、分かりやすく「マンゴーの匂い」がする訳ではない。
トップから感じていた「お香のような静かな甘さ」は、まだ続いている。
ココナッツみのある「ミルキーな甘さ」も僅かに混じっている。
そしてそこに、オレンジブロッサムを中心とした ホワイトフローラルの花の甘さが薄く重なる。
ラストノート:樹脂の甘みとチューベローズ(5時間)
樹脂の柔らかい甘みとウッディーさを含んだ香りで、ドライダウンに向かう。
そしてその甘さの中に半ば隠れるようにして、チューベローズの花の甘みも佇んでいる。
時間経過に伴う香りの変化は感じられるので シングルノートっぽくはないのだが、ずっと「静謐」で「薄暗い」、落ち着いた香りが続く。
「チュベルーズ」と香水名に入っているが、甘さや華やかさは控えめ。
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ラルチザン/ニュイドチュベルーズの解説と感想
捉えどころがない”分類不能”の香り
L’ARTISAN PARFUMEUR(ラルチザンパフューム)より2010年に登場した「Nuit de Tubéreuse(ニュイドチュベルーズ)」の香り。
ニュイドチュベルーズとは、フランス語で「チューベローズの夜」という意味です。
この香水は、ドラマチックなパリの夏の夜をテーマに作られたのだそう。
香水名だけを見ると”夜”のような「重さ」や「暗さ」と、チューベローズの甘く濃厚な花が ずっしり香るのかな?と思うかもしれませんが、全く違います。
「チュベルーズ」とタイトルには入っていますが、そもそもこの香水の主役はチューベローズではありません。
では、香りの主役は一体何なのでしょうか?
…それが、この香水には主役が居ないのです。
「何か一つの中心になる香りがあって、他の香りが それをサポートする」という構成に なっていないということです。
スパイスの香りやシトラス、ピンクペッパーの酸味、フルーティーな香り、オレンジブロッサムやチューベローズ等の甘い花、バルサミック(樹脂系)な甘さ、そしてウッディーな香り…。
こういったものが重なって、一つの美しい香りの まとまりを生み出しています。
本サイトでは香調を一応「フローラル」としましたが、正直なところ「フローラル系の香水とも ちょっと違うかな?」と思っています。
主役になる香りも香調も、捉えることができないような”分類不能”の香水なのです。
静かな夜を感じさせる香水
そんな風に、「オレが主役だ!」と大声を上げる香りがないからか、最初から最後まで”静謐さ”を感じさせます。
確かにNUIT(夜)を思わせる香りです。
でも私が思い描くのは パリのような「都会の夜」ではなく、何もない「野原の夜」。
『ひっそり閑とした広大な草原。遠くに佇む青黒い山並み。空にぽっかり浮かぶ円い月。
生き物といえば、虫たちが控えめに羽を振るわす気配がするのみ。』
こういった「静かな夜」の香りがします。
ですので、チューベローズの華やかで明るい花の香りがお好きな方にとっては、ニュイドチュベルーズは物足りなく感じるかもしれません。
私も、こちらはチューベローズ香水だと思っていません。
チューベローズが全く出て来ない訳ではないのですが、最後の方で樹脂の甘さに半身を隠すようにして、おずおずと顔をのぞかせる程度となっています。
ニュイドチュベルーズは一つの”分厚い”主役の香りがあるのではなく、向こうが透けて見えるような”半透明”の香りたちが寄り集まって、厚みを作り出しています。
そしてそれが「夜の帳」となって、そっと貴方の肌を覆うような香水なのです。
まとめ
今回は「ラルチザン パフューム/ニュイドチュベルーズ オードパルファム」について、詳しい香りのレビューをお伝えしました。
ニュイドチュベルーズは、香水タイトルにそぐわず「チューベローズ」が強く主張する訳ではありません。
様々な香りが幾層にも重なった、捉えどころのない「夜」の香水です。
香り選びの参考になれば嬉しいです♪
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