香水の話をしていると良く出てくる言葉、「香料」。
私自身も「香料」って気軽に言いまくっているけれど、これは一体何なのか…。
このページでは、「香料とは何か」「香料の分類とその特徴・魅力」について整理していきたいと思います。
香料とは何か?
香水は、エタノールと水に「複雑に組み合わされた香料」が溶け込んでいるものです。
「香水」とよく似た言葉で「フレグランス」や「アロマ」というのがありますが、これらの違いはご存じでしょうか?「香水=フレグランス」として使っている方も多いかと思いますが、この二つは厳密に言うとちょっと意味が違います。また、「ア[…]
では、その「香料」とは一体何なのでしょうか?
香料とは、植物・動物から得られた香り物質や化学的に作られた香り物質、あるいはこれらを混ぜ合わせて作られた香り物質のことです。
香水などの化粧品やファブリックミストなどのフレグランス雑貨品に限らず、食品や洗剤などの日用雑貨の香り付けにも使われます。
現代では再び「香りがないこと」のメリットにも着目され、無香料柔軟剤なども人気を博していますが、少し前までは過剰なまでに香りを添加した商品が多かったように思います。
「香り」は、「快」「不快」の感情に直結しやすいと言われています。(※1より)
ですので、商品に「香り」を添加することで、その商品にプラスのイメージを持ってもらえるようにしているのですね。
このように、私たちの生活は沢山の香料で溢れているのです。
香料の種類による違いと特徴
香水に使われる香料は、大きく「天然香料」「合成香料」「調合香料」の3つにわけることが出来ます。
この項目では、それらの違いと特徴についてお伝えしますね!
天然香料とは
天然香料とは、天然の植物や動物から得ることが出来る香料のことです。
植物と一口に言っても、花弁・果実/果皮・葉・枝・樹皮・根・種など、香料が抽出できる部位もさまざまです。
動物性の香料は、生殖器の分泌腺や体内に作られた結石などから得られていました。
現代では、動物保護の観点から動物性の天然香料は殆ど使われていません。
天然香料の魅力は、自然の豊かさを感じさせる複雑な香りの美しさにあります。
一方で、産地や原料の収穫年による香りのバラつきがあり、とてもデリケートな存在でもあります。
合成香料とは
合成香料とは、化学的に作られた香料のことです。
例えば、動物保護の観点から香料を得ることが難しいようなムスクやアンバーグリスなども、合成香料として生み出されています。
合成香料の魅力は、上記のような天然香料を得るものが難しいものでも代替可能なこと、また、産地や気象条件などによって生じる香りの”ムラ”がない所にあります。
合成香料では、比較的価格を抑え、安定した流通量を確保することができるのですね。
調合香料とは
調合香料とは、天然には得られない香りを再現したり、希少性の高い香りを再現する等の目的で、複数の香料を組み合わせたもののことです。
例えばローズの天然香料は大変高価ですが、ローズの香りを構成している成分を組み合わせることで再現した調合香料があります。(※2より)
天然のローズ香料は300以上の香り成分が含まれていますが、このような調合香料では100種類に満たない香料数になっているそうです。
このように天然香料はとても複雑で、それと全く同じ香りを生み出すことは、現代の化学をもってしてもとても難しいことなんですね。
ですが香料を組み合わせることで近い物を比較的安価で安定的に作れたり、新しい香りを生み出せることは大きな魅力と言えます。
まとめ
今回の話をまとめると…
✓ 香料とは動植物から得られたり、化学的に作られたりした香り物質、あるいはこれらを混ぜ合わせて作られたもの
✓ 香料は香水に限らず、身の回りの商品に数多く使われている
✓ 香料は「天然香料」「合成香料」「調合香料」に分けられ、それぞれに秀でた点がある
天然香料・合成香料・調合香料それぞれに魅力があって、それらを上手く組み合わせることで香水の「香り」は成り立っているんですね。
”天然”と聞くと、それが一番優れているように感じてしまいますが、一概にそうとも言い切れないのだと思います。
香水ライフにお役立てくださいますと幸いです。
参考
※1:新しい香水の教科書/小磯良江 監修/2022/マイナビ出版
※2:アロマ調香レッスン/新間美也/2021年/原書房